ふぁんとむらぼ

▢ふぁんとむらぼと海獣たち▢

そういえば、放射線って何?ーどこからくるの編・中性子線ー

 
そういえば
放射線 ってどこからくるの?

前回、放射線が細胞の中のDNAを壊してしまうことで、
健康被害が出てしまうという説明をしました

ではその放射線、いったいどこからやってくるのでしょうか?

▢目次▢

原子とは
どうやって放射線が出るの?
原子力発電所内のウランの反応

ズバリ!原子から放出される!

原子とは?

ほほう原子から放射線!( ゚Д゚)
原子は「すべての物質を構成する、最小単位の粒子」のことです
周期表にずらりと並んでいますね↓

周期表

周期表

軽水素原子以外の原子はすべて陽子、中性子、電子からできています

原子番号2、ヘリウムの場合、
▢陽子が2個
中性子が2個
▢電子が2個
で構成されています。

ヘリウム原子

ヘリウム原子
塩素の場合だと

▢陽子が17個
中性子18
▢電子が18個
 
の原子と、
 
▢陽子が17個
中性子20
▢電子が18個
 
の原子が存在します。中性子の数が違いますね。
同じ原子でも、中性子の数、つまり質量数が異なる原子のことを
同位体といいます。化学的性質はあまり変わりません。
上記の塩素原子は地球上に3:1の割合で存在しており、
互いに同位体である、という言い方をします。
ではこの原子からどうやって放射線が放出されるのか?
詳しく説明していきます^^

どうやって放射線がでるの?

放射線を利用しているもの代表、
原子力発電所を例に説明していきます( ᐢ˙꒳​˙ᐢ )

原子力発電所の原子炉内ではウラン235ウラン238
反応を起こすことにより発電を促しています

ちなみに後ろについている数字は質量数を表しています☆

このウランという物質、
めっっっっっちゃくちゃ不安定です!!!!
この不安定というワードが大事になってきます。
では不安定とは何か?ウツボ君に再現してもらいました↓

原子の様子

原子の様子

 

ウツボ君、なにやら陽子や中性子と書かれた袋をいっぱい持ってますね
しかも周りを電子に取り囲まれています

実はウランもこのような状態なのです

ウランの原子番号は92なので、陽子を92個
電子も92個と、かなりたくさん粒子を抱えています。
陽子は正、電子は負の電荷をもっているので
異なる電荷では引き合い、同じ電荷では退け合います
たくさんの粒子をかかえた原子というものは、
粒子同士が引き合ったり、反発しあったりする力を
なんとか治めながら、ギリギリその形を保っているんですねぇ(ง ˙˘˙ )ว

その分持っているエネルギーの大きさは驚異的です
ウラン1gで石油ドラム10本分くらい
やばいですね。長年理科を勉強していますが
何度聞いてもやばいと思ってしまいます(いろんな意味で)

ではそんなたくさんのエネルギーを
ウランは持ち続けることができるか?

答えはNOです。このウツボ君のように、 

いつ粒子をばらまいて崩壊してもおかしくない状態です

例えば、
▢水や空気に触れる
▢加熱する
▢刺激を与える
などなど、これだけのことでも激しく反応を起こして
持っているエネルギーを大量に放出してしまうんですね

こういう状態のことを、不安定といいます

逆に、エネルギーを放出しきったあとの原子や、
もともと持っているエネルギーが少なく、
ちょっとやそっとでは反応しないものは安定であると言えます。

ちなみに陽子や電子の数が少なければ安定なのかというと、
そういうわけではないんですねぇ( ³ω³ )
これ以上は大学レベルになるので割愛しますが、
かんたんに言うと
電子が定員ぴったり、
形のバランスがいい、
粒子が少なすぎず多すぎずほどほどの量
に当てはまる原子は安定なイメージがあります

原子力発電所では、ウランの不安定さを利用して発電しています
具体的に説明しますᕕ( ˘ω˘ )ᕗ

まずウラン235中性子をぶつけます

いきなりパワーワードですね
これはつまりエネルギーたくさんを持ったウツボ君に
大谷選手が165km/hのストレートをぶつけるようなものです

原子炉の中、原子に中性子をぶつける
原子炉の中、原子に中性子をぶつける

 

ウツボ「いやデッドボールだろ!!怒」

大谷選手はデッドボールなんて出しませんのでストライクです(偏見)
ウツボ君は粒子をばらまいてしまいました

実はこれが原子力発電において反応のきっかけとなります

図にするとこんな感じです↓


中性子ウラン235にぶつける

ウラン235は一瞬だけ中性子を受け止めますが、
すでにギリギリの状態だったので耐え切れず2つの原子に分裂してしまいます。
これを核分裂といい、ウランは持っていた大量のエネルギーを
熱エネルギーとして放出します
このエネルギーは原子エネルギー、核エネルギーとも呼ばれ、
これを利用して発電を促しています

核分裂の際、持っていた中性子が2.3個、弾き飛ばされる

図にはストロンチウムヨウ素を挙げていますが、
分裂の仕方によっては別の元素として生まれ変わります

③弾き飛ばされた中性子が別のウラン235ウラン238と反応する
ビリヤードの要領でどんどん反応が起こります 

原子炉の中ではこんなことが起こっていたんですねぇ

これと放射線、どんな関係があるの?

実はこのウランがばらまいた中性子

これこそが中性子とよばれる粒子放射線なんですね!

原子炉の中というのは、この中性子線がばんばん飛んでいます
1度反応を起こすと連鎖的に反応が起こるので、
止めたいときは中性子を吸収する制御棒
とよばれる棒を差し込みます!ガシャコン

原子力発電所というのは、少しのエネルギーで
莫大なエネルギーを生み出すことができますが、
その反面、何かをきっかけで制御できなくなったり
暴走してしまうという危険性も孕んでいます
そのため、制御するためのシステムやプログラムをいくつも用意したり、
何重にも壁を設置したりして万が一に備えています。

これだけの対策を行っていても、災害というものは
いつも突然にやってくるものです

2011年3月11日、東日本大震災

原子力発電所というのは、冷却水として海水を使うので
沿岸に建っていた福島第一原発は、津波の影響を受けてしまったんですね

原子力発電所というのはハイリスクハイリターンなので
増やそうとしている国もあれば、減らそうとしている国もあります

私も賛成反対をおいそれと口にはできません(´・ω・`)
日本は地震も多いですし、原発を使わずに済むなら
その方が絶対いいと思いますけどね。
エネルギー問題もありますし、難しいですね…

暗い話はここまでにして、話を放射線に戻しましょう!

放射線は高いエネルギーを持って放出される粒子、電磁波、
ちょっとイメージがわきましたか?^^

まとめ
ウランはエネルギーをたくさん持っていて、
そのエネルギーを放出するときに、
中性子線という放射線を出す

うーむなるほど(*‘ω‘ *)
中性子線の正体は中性子であると(そのままですね)
もちろんウラン以外にもベリリウム9やカリホルニウム252など
中性子線をだす原子はあります^^
 
中性子線以外の他の放射線は、その正体や放出されるまでの過程が異なりますので、次回は中性子線以外の放射線の解説をします!
それではまた次回~٩( ''ω'' )و

 
どうも、すみこデラックスです
ふぁんとむらぼの中の人をやってます
中高理科教員免許持ち(持ってるだけ)
日本人の理科の平均偏差値を上げたい
わからないこと、質問なんでも受け付けます!
可能な限り頑張って答えます٩( ^ω^ )و
コメント欄またはツイッターへどうぞ!

この記事ではわかりやすさやイメージのしやすさを重視しておりますので、
語句や用語の使い方に若干の違和感を覚える方がいらっしゃるかもしれません。
明らかに間違っている!というところ以外は気にせずゆるい気持ちで読んでいただけると嬉しいです('◇')ゞ